ある住宅系のコンサルタントの話です。

郊外のある街で住宅部材の調査をすることになり、その一環として

家の間取りの調査をした時のこと、なんと10件中7件までがほとん

ど同じ間取りだったそうです。

同じ工務店、建売業者が関与したのかと思って調べてみるとそれぞれ

が別の業者で建てられていました。

どうしてこうなったかというと、いわゆる「風水」「方位」です。

この間取りでないと「良くないことが起こる」ということです。

 

この風水、方位というのは現代でも生きています。

信じておられるのは相対的に年配の方が多いです。

当社もそんな人に備えて「方位盤」は持っています。

この方位盤に合わせて家を造るのは難しいです。

一旦プランを考えさせてもらってから、確認してもらう必要があります。

導線的にも不便であるとわかっていてもこの住む人の感情の面に対して

は説得の方法はありません。

方位を無視したプランは一蹴されます。

 

玄関の位置も敷地に接する道路の位置に関係なく設けられます。

システムキッチンの水栓の位置が微妙にひっかるという理由でキッチン

のタイプを変えたこともあります。

設備機器や給排水設備も性能が良くなり、排水が漏れるということも

まずありません。

雑排水も公共下水が行き届いて悪臭を放つということもありません。

浴室なども換気扇を回しておけば乾燥します。

理論的に覆すことができてもこの住む人の感情の面までは安心して

もらうことはできません。

「一抹の不安」もあってはならないのです。

家づくりも間取り重視から合理的な箱型が採用されることが多くなり、

少しづつこのような考え方は減りつつはありますが、意外と根強く

これからも残るではないでしょうか。

 

今年、同級生の家をリフォームさせてもらいました。

はじめて伺った時「どうして玄関がここにあるのか」「浴室が何でここに」

と思ったのですが、すぐにわかりました。