新築の家の刻みをしていますが、この手刻みという作業が
なければ墨壷や差金はあまり使わないかもしれません。
差金はさすがに使うかもしれませんが。
集成材を使った家では木の向き(柱の上下)というのはない
と思います。
しかし、無垢の木、自然の木を使って家を造る場合、柱には
上と下があります。
植わっている状態で根元が下、先(末口)の方が上です。
これを家に使うときは同じように根元を下にして造ることに
なっています。
逆さに建てるのは「逆柱」といって縁起が悪いとされています。
お墓に建てる墓標は逆柱になっているそうです。
「家鳴り」がするという地域もあるようです。
節がある木は節を見れば大体、根元と先の区別は付きますが、
節のないきれいな木は木目をよく見る必要があります。
プレカットでも自然の木を使うときはおそらく根元と先を判断
して加工していると思うのですが、当社はプレカットをしない
のではっきりとはわかりません。
まだプレカットが普及していない頃はすべて大工さんが刻んで
いました。
ある時、通し柱を建ててから逆柱になっているのに気が付いて
抜き替えたことがあるそうです。
見る人が見ればわかりますが、ひょっとすると知らず知らずの
うちに逆柱に使われている木があるのかもしれません。
構造上、問題があるわけではないですが。