「自然素材の家」 今ではどこの工務店でも造ろうと思えば

造れますし、特別な家でもありません。

当社がこの自然素材の家づくりを始めたのは15年ほど前に

なりますが、当時はまだ少なかったです。

以前はハウスメーカーの家づくりをしていました。

いわゆる下請けです。

もちろん新建材とビニールクロスの家です。

その頃は「家とはこんなもの」くらいに考えていました。

完成すればそれこそ非の打ちどころのない完全な商品のよう

に扱ってました。

きっかけはシックハウスでした。

またほぼ組み立てるだけの家づくりが面白くなくなったから

です。

今でこそシックハウスはあまり聞かなくなりましたが、始めた

ころはその症状に敏感なお客さんが多かったです。

自然素材の家は揮発性物質はありません。

また手触り足触りがよく木のいい香りがして大変快適な空間です。

造っていても楽しいものです。

大工さんも本来の技術が使えます。

しかし、いいことばかりではありません。

自然の素材ゆえに乾燥に伴う収縮や反りが起きます。

完成してすぐはなんともありませんが、しばらくすると建具が

反ったり、造作材が収縮して壁や天井に隙間ができたりします。

建具はしばらく様子を見てもらうことが多いです。

落ち着くと動かなくなります。

造作材の収縮による隙間は1年ほどしてから左官屋さんに補修に

入ってもらいます。

いつまでも縮むものではないので一度補修すれば大体落ち着きます。

床板は当時からよく乾燥させた材料を使っていたので冬の暖房時に

隙間ができることはあってもその時期が過ぎると元に戻ります。

傷は致し方ないですね。

特に杉の床板は暖かくて気持いいですが、柔らかくて傷はつき

やすいです。

凹みはスチームアイロンなどで多少直すことはできます。

どれも新建材ではありえません。

体にやさしい家ですが、手間の掛かる住まいです。

使う材料によっては気も使います。

しかし、これが昔からある日本の家です。

「昔の家はそんな隙間なんかあまりないけど」と思われますが、

昔の家は時間をかけて乾燥させた状態で造作をしました。

土壁でもあったので家によっては1年から2年かけて造りました。

今はそんな造り方はしません。

それでも当社では半年はかかります。

これからは「脱炭素」の時代と言われます。

高気密・高断熱で創エネすることで「ZEH住宅」にすることが一番

いいことのように言われます。

けれども、あるものを簡単に加工するだけで造れる家づくり、余計

なものをあまり造らない、そのまま廃棄しても土にかえるもので造る

ことが一番の「脱炭素」だと思います。