時折、耐震補強についての問い合わせがあります。

電話で話を聞くだけなので今一つ内容がわかりにくいですが、

一般的なことだけはお答えしています。

業界の人でもない限り、家の構造のことなどわかりません。

業界の人でも構造に関しては詳しくない人もいるくらいです。

聞きなれない言葉が並びますが、今ある木造軸組と言われる

木造の住宅には、在来工法と伝統工法という造りの家があり

ます。

ほとんどの家が在来工法です。

しかし、ここ数年古民家に人気があります。

この古民家の中に伝統工法という家があります。

簡単に見分けようとするなら、基礎があるかないかです。

(これも意見が分かれるところで一概には言い切れませんが)

基礎があれば在来工法で、基礎がなくて石の上に柱が直接立っ

ていれば伝統工法だと思ってもらえば大体あっています。

改装程度のリフォームでいいということなら別に問題ないです

が、耐震補強となると補強の仕方は変わります。

これは在来工法の家を耐震補強しています。

合板を貼って固めています。

これもそうです。

筋違を使って家を固めています。

基礎や合板、筋違といった部材を使って家を固めるのが

在来工法の家です。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、こちらは耐震リングという弾力性のある部材を使って

柱と梁を固定しています。

 

 

 

 

 

 

その上から荒壁パネルという土壁のような特性を持った壁を

貼っています。

どちらも弾性のあるもので壁を造っています。

これが伝統工法の家に使われる耐震補強です。

固めるのではなく、揺れることで力を逃がす造りになっている

のが伝統工法です。

伝統工法には次のような補強をすることもあります。

油圧式のダンパーを使って揺れを制限しています。

養生していますがこのような格子の壁を使うこともあります。

今ではネット上でいろんな情報を仕入れることができます。

「荒壁パネルや耐震リングを使ってほしい」

という依頼がありました。

聞いてみると築40年ほどでコンクリートの基礎があります。

明らかに在来工法ですから、この家に耐震リングや荒壁パネル

は一般的には使いません。

(揺れるものという前提でこれを使って補強することもありますが)

難しいのが伝統工法の家をリフォームしてコンクリートの基礎が

造られているときです。

混構造と言いますがこれは現地を確認してみないと何とも言えま

せん。

伝統工法でも基礎を造って家を固めた方がいいこともあります。

家を持ち上げてその下に基礎を造って在来工法の家に変えてしま

う方法です。

在来工法の場合はソフトも普及していて構造計算も比較的簡単に

できますが、伝統工法の場合は「限界耐力計算」という難しい計

算が必要で、構造計算費用もそれなりに高価なものとなります。