今度新築する家の構造材を加工しています。

普通の家と違って刻みも特殊です。

なるべく金物を使わずに昔ながらの継手・仕口を使って

造る家です。

 

 

 

 

 

 

こんな細長いホゾも普通の家ではあまり見かけません。

桁の上にさらに梁が載るので二つの構造材を連結するためです。

 

 

 

 

 

 

込み栓のための穴が開いています。

金物ではなく細い木を差し込んで固定するためです。

 

昔の家は金物はあまり使いませんでした。

釘はありましたが、今の釘とは違って楔のようなかなり

長くて太い釘です。

木の木目に沿って曲がりながら撃ち込まれているような

釘もあります。

現代の木造住宅はホールダウン金物を代表として柱と

土台、柱と梁また梁と桁同士をつなぐにも金物、ボルト

が使われます。

筋違にも筋違金物があります。

接合部にはほぼすべて金物が付けられています。

同じ木造でもメタルジョイントといって接合部が金物で

加工されている家もあります。

ところが昔はそのような金物がなかったのでいかに木を

加工して接合すれば丈夫になるかを何年にもわたって試行

錯誤しながら写真のような複雑な形になりました。

これは伝統的な技術ですが、現代ではこのようなことはし

なくても家は建てることができます。

しかし、この技術を残していこうとしている人(建築家・

工務店など)もいます。

金物を使う現代の家は家を固めることで耐震を取り、継手・

仕口を昔ながらの方法で加工する家は揺れることで地震の力

を逃がす造りになっています。

もともと、木と鉄は相性が悪いと言われます。

釘は木の中でサビることで接合を頑丈にしますが、ボルトや

筋違金物は結露の原因になるからです。

これから先、住宅は新築は減って、既存のストックを利用する

人が増えてくると思います。

どちらの技術も共存できる社会になればいいと思います。