ある村の女の人の家に一人の旅人が訪ねてきて何か食べ物

をいただけないかと言いました。

「あいにく何もないんですよ」と女の人が答えました。

すると旅人が「ここにスープの石を持っています。

これを熱湯の中に入れさえすればおいしいスープができます

から鍋にお湯を沸かしてください」

女の人は半信半疑で湯を沸かし始めました。

そして、近所の人たちにいきさつを知らせたところ村中の人が

集まってきました。

旅人はお湯の中に石を落とし、お湯をスプーンですくって口に

含みます。

「おいしい」「ここにジャガイモが入るともっとおいしくなる」

一人が「ジャガイモならあるよ」といって家に帰ってジャガイモを

取ってきて鍋に放り込みました。

旅人はまた味見をして「肉が少しあれば素敵なスープになるのだが」

また別の人が肉を持ってきました。

肉を鍋に入れて味見をします。

「あと、野菜が入れば完璧だ」

別のおかみさんが野菜をもって来ました。

「皆さん、お椀を」

みんながめいめいお椀を持って戻ってきました。

旅人はおいしいスープをみんなに配りました。

村人たちはおしゃべりしながら、おいしいスープを味わいました。

 

「スープの石」というお話です。

石は別に魔法の石ではなくどこにでもある石です。

人口減少に伴って地方では過疎化が進んでいます。

そこで地域を活性化しようとする動きが出てきています。

そして地域おこしに成功したところでは多くの場合、「よそ者、若者、

馬鹿者」がかかわっているといわれます。

よそ者だから客観的なものの見方ができる

若者だからしがらみや昔のやり方にとらわれずにチャレンジできる

馬鹿者だから常識はずれなアイデアでもって活動ができる

この旅人のような役目をする人たちが増えればどんな地域も活性化できる

かもしれません。