職人さんの世界では器用な子は早く上達します。
棟梁の西岡常一さんが「不器用の一心に勝る名人なし」
といったそうです。
器用な子は早く上達するが、慢心して落っこちたり、また
上がったりと波を打ってばかりです。
一方不器用な子はなかなか目が出なくても何かの折にコツを
掴むとそこから伸びる ということです。
器用でも不器用でも10年位修行すればそれほど大差はありません。
でも器用な子はそこまでいられないんだそうです。
職人さん特に大工さんの世界は一人前になるまでかなりの時間が
かかります。
当社は社員大工がいます。
社員ですから給料制で労働基準を守って作業をしています。
そこへ大工さんの世界は受け取りもあれば日当制もあり、
一日当たりの賃金がある程度決まっています。
これを給料と比較してしまうと給料に見合う仕事をしてもらう
には労働時間が制限されるだけにかなり無理があります。
職人さんの世界はものを造っていくらの世界で、働いていくらの
世界です。
建設業はそれで現状が保たれていますが、もし職人さんがみんな
社員制になって労働基準を守って作業をしたら、住宅をはじめ、
あらゆる構造物はもっと高価なものになるでしょうね。