日本には「鬼門」と言われる方位があります。
方位だけでなく場所や状況を指すこともあります。
現代では気にする人も少なくなりましたが、住宅の仕事をして
いるとこれは気を付けなければならないことでもあります。
これは住宅に限らず都市計画から城郭、神社、仏閣などでも工夫
がみられるとのことです。
奈良時代の平城京では鬼門の方角に東大寺があり、京都の平安京
では比叡山延暦寺があります。
また京都御所の築地塀は北東の隅が欠けています。
鬼門は北東の方位、十二支の丑、寅の方位です。
なので鬼は角が生えていて、寅のパンツをはいています。
その反対側は裏鬼門と言われます。
昔話の桃太郎は鬼退治のために猿と雉と犬をお供に連れて行きますが、
この動物は裏鬼門の方位にあたる動物だからという説もあるそうです。
(ややずれてますが)
家づくりにおいても方位を気にするかたは今でもおられます。
方位盤の通りに家を造るのはたいへんです。
名古屋のほうである調査で数件の家を訪問したところたまたま数件の家が
全く同じ間取りをしていて「これは同じ工務店が施工したのだ」とばかり
思って調べてみるとどの家も工務店は別だったそうで、実はそれ以前に方位
を観る人がいて同じ間取りになっていたそうです。
日本にはこのほかに建築、土木といった作業に関しては「土用」と言われる
ものがあります。
土用の期間は土を掘り起こすような仕事をしてはいけないとされています。
土用は立春、立夏、立秋、立冬の前18日間です。
しかし、この間土を掘り起こしてはいけないとなると何かと支障が出ます。
そこで「間日」が設けられていてその日は作業をしても良いということです。
今日に至るまで日本の建築はこのような縛り(決めごと)の中で行われて
きたのですね。