伝統工法の家ですが、今屋根仕舞、外部仕舞の最中です。

普通の在来の家とはちょっと勝手が違うようです。

金物はなるべく使わない、というか本来は全く使わなくても

いい造りなのですが、仕様規定という方法で確認を取ってい

るので最低限の金物は使います。

でないと中間検査がとおりません。

建築基準法は在来工法に基づいて作られていますから、これに

逆らうことはできません。

込み栓やクサビは乾燥に伴って緩んできますから、再度打ち直して

いかなければなりません。

私自身はこのような構造の家は仕事柄好きですが、社員の中でもこの

伝統工法については意見が分かれます。

「これからも手掛けていきたい」という社員もいれば「なんでも昔の

ものがいいとは思わない」と考える社員もいます。

どちらも否定はできません。

せっかく木造住宅をしているのだからこのような技術を使って家づくり

をしたいと思うものもいれば、現行法に則って施工をした方が消費者の

方にも説明しやすいし施工も楽だということです。

 

こちらの家は確認申請をおろすために仕様規定と言って外壁にモイスと

いう合板を貼ります。

そして石場建てではありません。

最低限の基準法上の耐力は合板によって確認を取っています。

そしてもし大きな地震が来たとき、仮に合板類が破断するようなことが

あっても家自体は軸組だけ手自立できるようになっています。

耐震等級という地震に対する強度を表す数値があります。

この家は等級は1です。

そしてこの等級で持ちこたえられない地震が来ても家は自立できるよう

になっています。

しかしそれならば等級3の家にしておけば消費者の方には説明はしやすい

です。

認定も簡単に取れます。

「耐震等級3の家よりも地震が来たときは倒壊しにくいです(揺れは

しますが)」と言っても「等級3あればいいじゃないですか」

とも言えます。

実際ほとんどの家がそうなのですし、国も勧めています。

当社では在来で家を造るときはすべて長期優良住宅で等級は3です。

伝統的な技術も捨てがたいですが、消費者の方にどう説明するかです。

本当に「木組みが好きな人」「伝統的な技術が好きな人」しか対象に

ならないのかもしれません。

自己満足だけではこのような技術はなくなってしまいます。