蔵の補修をしています。

蔵と言えば最近の家ではめったに建てることはありませんが、

昔はほどほどの屋敷のある家では必ずありました。

普通は一つですが、大きな屋敷になると二つありました。

「戌亥蔵」と言われる蔵と「辰巳蔵」と言われる蔵です。

十二支でいうところの北東の位置と南西の位置にある蔵です。

二つそろって一人前と言われるくらいの建物でした。

 

こちらの家では、「もう解体した方がいい」という人と

「いや、残しておきたい」という人とで意見が分かれてい

ましたが、改修することになりました。

昨今の古民家ブームもあってか残そうとする傾向があるよう

ですが、これはブームとかは関係なく住む人にとっては「なく

てはならないもの」「壊すなんてとんでもない」という人が

たくさんいます。

解体を勧めるのは大変失礼なことなんです。

絶対「言ってはいけないこと」なんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご先祖様が苦労して作ってくれたもの」という気持ちが

あります。

そしてとにかく「自分の代で資産を減らすことはできない」

という気持ちがあります。

私も使えるものを壊すことは反対です。

これまでも物置状態になっていた蔵を子供部屋やご主人の書斎

などに改修させてもらいました。

あるものを大事に使うというのは大切なことだと思います。

しかし、これが次の代の人の負担になるようならば今じっくり

考えて思い切ることも一つの方法だと思います。

私が偉そうなことを言える立場ではないですが、なんでも

かんでも残すと次の代の人の負担になることがあると思い

ます。

田舎に空き家を持っている人で困るのはその片付けと仏壇だ

と言います。

不動産屋さんに売ってほしいとお願いしても「片づけはして

おいてくださいね」となります。

30年以上経過した建物に資産価値は付けてくれません。

却って解体に要するであろう費用分だけ安くなることもあり

ます。

仏壇などは他の人は触ることはできません。

このようなことも空き家が増える原因かもしれません。

「おそらく将来活用することはないだろう」また「資産的な

価値はないだろう」というものならば思い切ることも必要かも

しれません。