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深い庇と開かれた縁側は日本の伝統的な住まいの特徴でした。

南側の庇は、冬の日差しを室内に取り込み、夏の日差しを遮りました。

縁側は通風とともに外界の影響を緩和する場所でした。

茅葺の屋根は、断熱材としてだけではなく水分を蒸発させて気温よりも

低い温度となります。

高い生垣は、強い季節風を遮り木の間を通して涼しい風をもたらしてく

れます。

またそれはその地域の風景にもなります。

今の家づくりは技術も進歩して人工的に住環境御を制御できるようになり

ましたが、つい数年前まで生活環境は建物とと住む人の工夫によって維持

されてきました。

私も小さいころを思い出すと、離れの解体などは親せきや近所の人が集ま

ってやっていましたし、

土壁塗りなどを手伝った覚えがあります。

今の工業製品と違って身近なものを使って造っていたので職人さんでなくて

もできることが多かったのでしょう。

このような古民家と言われる家が今注目されています。

しかし、この開放的な家はいいところもたくさんありますが、現代の人が住む

にはやはり不便があります。

まず何と言っても冬の寒さでしょう。

昔は家の中でも服を着込んで火鉢などで採暖したものですが、今の人はそんな

生活には戻れません。

スゥエーデンの建築家でハンスという人が無暖房住宅というのを提唱したこと

があります。

人の体は100ワットの熱量を持っています。

また、家の中では調理や照明器具などから発熱します。

窓から入る太陽の熱も得られます。

そうなると、徹底的に熱を逃がさないようにすれば無暖房住宅というのは可能

なのかもしれませんが、換気は必要です。

また仮に無暖房はできても無冷房は無理です。

スゥエーデンという国だからこその発想です。

日本では、夏になればエアコンの室外機から熱風が噴出してます。

日本では、多少厳しい暑さ寒さはありますが、冬でも天気が良ければ窓を開ける

こともあれば、夏でもいい風が吹いていれば通風で涼を取ることもあります。

機械を使って効率よく暖房冷房する高気密高断熱もいいですが、いい風が吹いて

いるというときは窓を開け放って風をたくさん呼び込めるような自然を利用できる

ような建物にしておきたいものです。