今の日本には在来工法と言われる現代の家と古民家
などに採用されている伝統工法という木造軸組み工
法があります。
と言ってもほとんどが建築基準法による在来工法ですが。
上のグラフは二つの工法の特性を表したものです。
上にある曲線が在来工法で、下にある曲線が伝統工法です。
どんな特徴があるかというと耐力は在来工法の方が大きい
です。
横軸方向は傾きを表していて、たとえば1/60というのは
2m(200センチ)上がったところで約3.3センチ傾いた時
の角度です。
在来工法の場合耐力は大きいですが、1/60以上傾くと中破
・大破に至り、その倍の変形1/30(約6.6センチ)を超える
と倒壊に至るというデータです。
2mと言えば大体、建具の上です。
そこが水平方向に6.6センチ以上ずれると倒壊する可能性が
あるということです。
それだけ動くと、筋違や合板が破断してしまうということです。
一方、伝統工法はその倍の大きさ1/15を超えて初めて大破・
倒壊に至ります。
伝統工法には筋違や合板はなく、土壁や木組みによって耐力を
保っているので変形には強くて、いきなり倒壊はしにくいとい
う特性があります。
こちらの画像は地震の被害にあって変形したであろう痕跡を残
している障子です。
1/15どころか1/5くらいまで変形したのかもしれません。
地震のことですからどんな動きの結果こうなったかはわかりませ
んが、それでも倒壊しなかったんですね。
全ての伝統工法に当てはまるものではないですが、特別な構造計算
をしてあるわけでもなく、このように大きな地震に耐える古民家も
あります。
数百年と続いてきた工法ですから、これなら地震で簡単には倒壊しな
いという験上の技術や知識が使われているのかもしれません。
※画像は、ネット上から拝借したものです。