今も、時々見かける蔵です。

南西の方角に造られていて戌亥蔵ともいわれます。

それと正反対の方角に設けられるのが辰巳蔵です。

昔の家はこの両方があると一人前の家と言われました。

両方を造ろうとするとそれなりの財力がないとできないので

ごく限られた家でしか見かけません。

おそらく、見栄も多分にあったと思います。

昔の人は現代のように誰もが家を建てることができなかった

時代に子々孫々まで続くように考えて家を建てました。

「一生もの」と言われるものを使って建てられています。

胴の樋などは代表的なものです。

一生ものと言っても胴の樋も耐用年数は30年くらいですが。

 

孫の代まで考えて造られた家ですが、今のような時代が来るとは

誰も思わなかったでしょうね。

核家族化が進んでみんなが独立してそれぞれが家を持つようになる

とは思わなかったでしょう。

そのために立派な造りの家がたくさん空き家になってきています。

今では手に入りにくい材料もふんだんに使われています。

しかし、そんな材料もその家で生かされてこそです。

元が高価なものだからと言って簡単に売れたりするものではありません。

新築にしろ、リフォームにしろ古いものが好きな人もいれば、すべて新し

くないと嫌だという人もいます。

使えるものも部材によりけりです。

写真の家は空き屋だったのですが、購入された方がいて今リフォームの

最中です。

大工さんもいい造りがしてあると言ってます。