「日本の木造住宅の寿命は欧米に比べて著しく短い」

と言われます。

また、度重なる地震の度に耐震性のない家が取り上げられます。

日本の木造住宅は垂直に建てた柱と横に渡す梁や桁で組み立て

られています。

これを「軸組み工法」といわれるものです。

今の日本にはこの軸組み工法が2種類あります。

昔から長年培われてきた「伝統工法」と建築基準法が規定している

「在来工法」です。

現在では原則として「在来工法」の家しか建てられません。

ところが、在来工法と伝統工法はどう違うのかというとこれがまた

あいまいです。

私もいろんな家を拝見させてもらいますが、どちらか判断に迷う家

があります。

実際、どちらに属するかという基準自体がありません。

石場立てという構造ならば、これは伝統工法だと思いますが、コンク

リートの布基礎の上に立っている築80年くらいの家もあります。

このころには基準法はまだありません。

「寿命の短い木造住宅が増えたのは最近のことだ」という人がいます。

確かにそうかもしれません。

昔から建てられてきた家に100年、数100年使い続けられている建物

がたくさんあります。

阪神の震災の時も築100年くらいの家も無事だった例がたくさんある

そうです。

なぜか、倒壊した画像ばかりが出回ってそのことについてはあまり触れ

られませんでした。

当然そのような家には基礎もなければ筋かいや補強金物も使われていません。

今の基準法からすれば違反建築です。

100年も経過していれば、それなりに地震や台風の被害に遭遇しているはず

ですが、残っているということです。

ということは、昔ながらの家「伝統工法の家」は数代にわたって住むことが

できる家であって、建築基準法ができてから寿命の短い家が増えたとも取れます。

この原因は、「いい加減な造りの家が増えたから」「消耗品扱いされる家が増えた」

からかもしれません。