古民家の鑑定です。

今、古民家が流行です。

人が住まなくなった家を活用する人が増えました。

いいことだと思います。

私は仕事柄、いろんな古民家を見る機会が多いです。

古民家は大体間取りが決まっています。

私の実家も今では古民家と言われる家です。

 

立地条件としての傾向ですが、周辺に高低差がない地域に建って

いる家は不同沈下も少ないですが、全体に高低差があって切土・盛り土

をしたであろう敷地はやはり不同沈下というか地盤自体の傾きの影響を

受けます。

これは現代の家でも同じですが、古民家は今の家のように筋違や合板は

使われていませんから地面が傾くと自重で家が全体にそちらに傾きます。

合板や筋違がなくても構造材自体が大きいのと木材の組み合わせで強度を

持っているので粘り強くその形は保っています。

 

また古民家は茅葺ということもありますが、さすがに茅葺の家は少なく

なって瓦屋根の家がほとんどです。

瓦は重いです。

重い瓦を支えるために大きな部材が使われています。

それが今の家にはない魅力でもあります。

 

小屋組みの組み方に「折置き組」と「京呂組」という組み方があります。

折置き組というのは柱の上に直接梁が掛かっていて梁の上に桁がある組み方で

昔の家(古民家)に多く使われた組み方なのですが、私は奈良県ではほとんど

見たことがありません。

今回の古民家も「京呂組」という柱に上に桁が乗っていてその上に梁がかかって

いました。

 

古民家で気になるのがシロアリの被害と雨漏れ。

シロアリの被害は程度の差はあってもは必ずと言っていいほどあります。

石場立てという方法で建てられているので床下の換気はいいのですが、

敷地全体が平らなので床下に雨水が流れ込むことが多く、湿気を含んで

しまうからです。

また、木材自体が今の家と違って地面に近いところにたくさん使われている

のも被害を受けやすくしています。玄関などがそうです。

雨漏れが原因で白蟻の被害を受けていることもあります。

梁や桁でも水分があればシロアリは登って行きます。

 

雨漏れは屋根の傷みが原因のことが多いですが、開口部が今のようなアルミサッシ

ではなく木製建具ですから、強い吹き降りを受ければ雨の水は侵入します。

下屋の瓦と壁の取り合い部分も瓦と漆喰ですから、雨が当たり続けば水はしみこん

でいきます。

 

このような不具合はどんな古民家でもあります。

リフォームすることでかなり改善はできますが、あまり手を加えると古民家本来の

良さがなくなります。

現代の家に比べれば不具合はたくさんありますが、それが古民家のよさでもあります。