伝統工法の家の耐震補強をしています。

古い家になると、柱や床が傾いていることがよくあります。

この傾きは、いきなり傾いたりはせずに徐々に起きること

なので住んでいる人はあまり気にならない(気がつかない)

ことがあります。

さて、この傾きはどれくらいが許容範囲なのかというと

新築の家で3/1000 1mにつき3ミリ 角度で言うと0.17度

中古の家で6/1000 1mにつき6ミリ 角度で言うと0.34度

とされています。

気にならなければ、または不便がなければ修正する必要はない

といえますが、たとえばドアを開けようとすると下か上が引っ

かかる、ビー玉などを落とすと勝手に転がるといった気になる

不具合があれば修正した方がいいかもしれません。

たとえば 新築時の3/1000という数字は厳しいようでそうで

もありません。

1m移動したところで3ミリ上がっている、または下がっている

というのは私なら歩いていて気が付きます。

柱にしても1m上がったところで3ミリ傾いていれば引き戸の建て

つけは合いません。

当社では、大工さんの工事が完了した時点で私が水平や垂直を

計測するレーザーで点検しますが、3/1000という傾きはまず

ありません。

 

 

 

 

 

 

以上はあくまでも在来工法の基準ですが、伝統工法の場合は壁の

傾きは12/1000とかなり許容範囲が広くなります。

1m上がって12ミリはかなり大きな傾きです。

これは伝統工法は在来工法に比べて2倍の大きさの変形まで破壊の

許容範囲が広いという判断です。

在来工法は筋違や合板といった頑丈ですが大きな変形に耐えられない

構造と伝統工法の土壁や貫といった弾力性のある構造と違いによる

ものです。

写真は、仕口ダンパーと荒壁パネルを使った伝統工法の家の耐震補強

です。